要求書
2021 年 12 月 8 日更新
2021 年 12 月 6 日に当会より、施設部環境安全保健課保健衛生掛にて提出した要求書を以下共有します。
PDF: https://drive.google.com/file/d/1XmgAK2cxmEIScIZ4ChgBYCzmRXW91rlm/view?usp=sharing
京都大学施設部環境安全保健課 保健衛生掛 御中
環境安全保健機構長 吉﨑武尚 様
京都大学環境安全保健担当理事 村中孝史 様
京都大学総長 湊長博 様
京大保健診療所の存続を求める会
ku.clinic.sonzoku@gmail.com
要求書提出人 山村沙南
要求書
京都大学の学生有志で構成される当会は、此度の京都大学保健診療所診療終了問題に関して、下記の要求を行います。つきましては、保健診療所をめぐる学生・教職員の実情と必要性を十分ご理解の上、本年 12 月 14 日までに上記の当会メールアドレス宛てに誠意あるご回答を賜りたく申し入れます。
要求
要求 1
京都大学保健診療所神経科の初診受付を本年 12 月 8 日限りで終了する予定を至急取り止め、現行の保健診療所の廃止如何に関わらず、最低でも来年 3 月 31 日まで継続して初診を受け付けること。
要求 2
来年 2 月 1 日から同年 3 月 31 日までの間、現保健診療所本部建物の改修が必要な場合でも、仮の診療所を設けるなどして、可能な限り現行の診療体制を維持すること。
要求 3
下記【要求 4】及び【要求 5】の要求事項が漏れなく達成される見込みのない場合、来年 4 月 1 日以降も引き続き現行の保健診療所および診療体制を維持すること。
要求 4
現行の保健診療所を廃止するのは、学生・教職員の健康と生命の保護及び福利厚生の必要性を十分勘案の上、なお廃止せざるをえない正当な理由があると判断され、かつ現行の保健診療所より福利厚生水準が一切低下しない代替機関を遅滞なく開設できる場合に限ること。現行の保健診療所を廃止する場合は、上記の正当理由を公表の上、必ず来年 4 月 1 日を以て現行の保健診療所の代替となる学内医療機関を開設・稼働すること。
要求 5
現行の保健診療所の代替となる学内医療機関を新設する場合は、来年 1 月 7 日以前に、学生や教職員にその方針と内容を広く告知・共有すること。共有後は、すみやかに学生・教職員を対象とした匿名のアンケートやオンライン説明会などによる意見収集の機会を十分に設けて意見収集を行い、新設の当該機関が最大限、学生・教職員の健康を保持増進するものとなるよう、開設内容案の改善に努めること。具体的な開設内容を決定する際には、教授会など学内の適切な会議体での審議を欠かさないこと。
要求詳細
要求 1 について
当日初診受付可能な保健診療所神経科は学内に必要不可欠である。 下記の本年 12 月 1 日付け通知(21 環機健第 36 号)では、「12 月 9 日以降に神経科の診療が必要で初診となる方は、外部の医療機関を受診していただくことになる」と、簡単に述べられているが、一般に、病院の神経科や精神科・心療内科クリニック等は、初診の予約だけで数週間から数ヶ月待たされることが常態化しており、今すぐに神経科の初診を必要とするような状態の人間にとって、予約不要で初診できる保健診療所神経科は「外部の医療機関」で容易に代替が利くものではない。そもそも、通知からたった一週間での初診終了は、あまりにも急だと言わざるを得ない。
このような措置は、精神に著しい不調をきたした学内関係者にとっての大切な救済を突如として奪い去るに等しいものであり、学生の学業や教職員の業務遂行、そして学内関係者一般の日常生活を危機に晒すものである。その結果として、留年・中退に追い込まれる学生や休職・退職に追い込まれる教職員が増加し、また最悪の場合、自殺者が続発するといった事態も強く危惧される。
したがって、12 月 8 日をもっての保健診療所神経科の初診受付終了を至急撤回し、暫定的に初診受付をはじめとする平常通りの診療業務を継続するべきである。また、保健診療所が仮に廃止され、代替となる学内医療機関を新設する場合においても、代替機関が保健診療所と同様の業務を開始する直前までは、初診受付をはじめとする平常通りの対応が現行の保健診療所体制において継続されるべきである。
要求 2 について
下記の本年 12 月 1 日付け通知(21 環機健第 36 号)では、組織改編に伴い、大学の方針として保健診療所における診療業務を終了することと説明されている。しかしながら、常識的に考えて、改編された新組織は年度の切り替わりをもって稼働を始めるものであり、年度末までは改編前の組織が稼働を続けるものである。
すなわち、組織改編を理由にするにしても、2022 年 3 月末までは現行の診療体制を継続させるべきであり、2022 年 1 月末をもって性急に診療を終了すべき必然性はどこにも存在しない。
なお、上記 12 月 1 日付け通知に先立つ本年 11 月 29 日付け通知(21 環機健第 35 号)では、「保健診療所建物内部の改修のため」に、2 ~ 3 月の各種業務を休止する旨が通知されている。この 11 月 29 日付け通知と 12 月 1 日付け通知の連関は明瞭にされていないものの、診療終了が来年 3 月末ではなく来年 1 月末に定められている背景には、この保健診療所建物内部の改修があると強く推察される。
しかし、仮にこのような事情から診療終了を 1 月末に早めたものだとすれば、この措置は著しく合理性を欠いたものと言わざるをえない。その根拠は以下 1. ~ 3. のとおりである。
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11 月 29 日付け通知(21 環機健第 35 号)において段階的な休止が明言されているのは、各種ワクチン接種、抗原・抗体検査、各種申請に必要な診断書発行のみであり、診療業務全般までもを休止するとは一切言及されていない。この事実はすなわち、建物改修があっても、上記の一部業務を除いた一般の診療業務を引き続き行うことが可能な証左である。したがって、建物改修を理由に、保健診療所における診療業務すべての終了を 3 月末ではなく 1 月末に早めることは、不合理であると言わざるをえない。
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仮に、建物改修により、来年 2 ~ 3 月期に現保健診療所建物において一切の診療業務を行うことが困難になるとしても、その期間、何らかの代替措置を設けて同等水準の保健診療体制を維持することは十分に可能である。また、現に多数の定期的な通所者が存在し、また潜在的に診療を要する多数の学内関係者が存在する現状に鑑みれば、保健診療所による診療体制を間断なく維持するべき強い必要性があるものといえ、大学として可能な限り保健診療体制を維持する努力をするべきといえる。(この建物改修期間中の代替措置としては、たとえば、学内の別施設を間借りして仮診療所を作ったり、京大病院の優先診療枠を作るといった措置が考えられる。)
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11 月 29 日付け通知において、内部改修の対象となる「保健診療所建物」は、順当に考えて本部構内に存在する保健診療所建物であると解される。すると、建物改修を理由に、宇治・桂・熊取の各分室における診療業務まで終了するべき理由は一切存在しない。
以上の理由から、来年 1 月末をもって保健診療所における診療業務を性急に終了すべき合理的な理由は一切なく、最低でも本年度末までは、現行または現行に準ずる診療体制が維持されるべきである。
要求 3 について
12 月 1 日付け通知(21 環機健第 36 号)では、現行の保健診療所の診療終了のみが唐突かつ一方的に告知されている状態であり、代替となる措置についてなんら言及されていない。現に通所している利用者、また潜在的な利用者が学内に多数存在する中で、まともな代替措置も提示されないままに保険診療所による診療業務が突然に打ち切られることは、現在の利用者はもちろんのこと、京都大学に在籍する学生・教職員すべての権利を完全に無視した暴挙であり、決して看過することはできない。 上記のとおり、保健診療所神経科については外部医療機関で代替が利くものではなく、また容易に外部医療機関に切り替えることも不可能である。また、保健診療所神経科は、医師・薬剤師による投薬治療まで行える医療機関であることに意味があり、カウンセリングルームや相談室等での代替も不可能である。 このような状況で、同等以上の代替措置も設けられないままに保健診療所神経科の診療業務を打ち切ることは、精神に著しい不調をきたした学内関係者にとっての大切な救済を突如として奪い去るに等しいものであり、学生の学業や教職員の業務遂行、そして学内関係者一般の日常生活を危機に晒すものである。その結果として、留年・中退に追い込まれる学生や休職・退職に追い込まれる教職員が増加し、また最悪の場合、自殺者が続発するといった事態も強く危惧される。 加えて、保健診療所内科についても、プライマリケア・初期診断や外部医療機関への紹介状作成などで多大な貢献を果たしており、その役割は決して軽視されるべきではない。 したがって、学内医療機関としての保健診療所は必要不可欠であり、同等以上の代替措置もなきままに学生・教職員向け診療を打ち切ることには断固反対する。そして、福利厚生面で現行の保健診療所と同等以上の学内医療機関を間断なく設けるという代替措置を取れる見込みがない場合、現行の保健診療所の存続と診療体制の維持を強く求めるものである。
要求 4 について
保健診療所における診療業務を終了する大学側の理由は、本年 12 月 1 日付け通知(21 環機健第 36 号)では、組織改編に伴う大学の方針と説明されている。 しかしながら、組織改編に伴って保健診療所の管轄部署が代わることはありうるにせよ、保健診療所の診療業務自体までもが終了させられるべき必然性が一切ないことは明らかである。一般の学生や教職員にとっては、組織改編の詳細や実態からして不明であり、上記の理由説明は到底納得できるものではない。したがって、組織改編によって現行の保健診療所の診療を終了するべき正当で合理的な理由が果たして本当に存在するかどうか、大学側には今一度の再考を求めるものである。 また、今回の唐突な保健診療所の診療打ち切り通知によって、保健診療所の現利用者及び潜在的利用者は不安と混乱に晒されている。仮に大学側において現行の保健診療所の代替措置ないし代替機関を用意する予定があるとすれば、第一にそれを迅速に公表するべきであると考える。 第二に、仮に大学側において現行の保健診療所の代替機関を用意する予定があるとしても、それが現行の保健診療所よりも利用者に不便や不利益を強いるものであれば、そうした改悪には断固として反対し、現行の保健診療所体制の維持を求めるものである。 第三に、仮に大学側において現行の保健診療所の代替機関を用意する予定があるとしても、保健診療体制に期間の穴を作ってはならず、代替機関が確実に開設・稼働するまでの間は、現行の保健診療所による診療体制が間断なく維持されるべきである。
要求 5 について
現行の保健診療所を廃止して、新規に診療所ないしそれに類する学内医療機関を開設する案が作成されたときは、廃止に至った合理的で正当な理由を公表し、かつ法律で定められた正規の手続きを通すとともに、教授会などでの適切な審議を行うことを要求する。 また、利用者の生活に大きく関わってくる事柄であるため、学内に広くその案を共有するとともに、学内の学生や教職員が自由に参加可能な(かつ可能な限り匿名の)アンケート調査及びオンライン説明会を行って意見を集め、学生・教職員の健康・生命及び福利厚生を第一に考慮しながら、慎重に判断して当該新機関の詳細な仕様を策定するよう求める。
前提
京都大学環境安全保健機構健康管理部門の組織改編に伴う京都大学の方針として、保健診療所(吉田・宇治・桂)での診療が 2022 年 1 月 31 日をもって終了すること、そして 2021 年 12 月 8 日をもって神経科の初診受付を終了することが、2021 年 12 月 1 日付けにて京都大学環境安全保健機構のウェブサイト上で突然発表された。 また並行して、環境安全保健機構長名義による正式な同内容通知(21 環機健第 36 号)が、同日保健診療所前の掲示板に掲示された。 利用者を含めた一般の大学関係者にとって、この通知は極めて唐突なものであった。通知に先立つ、事前の利用者・学内関係者への意見調査や説明は一切なく、また、教授会による審議や、法的に定められた衛生委員会による審議を介していなかったことが確認されている。そして、この発表において、2022 年 2 月 1 日以降、保健診療所診察終了後の方針は一切示されていなかった。
京都大学環境安全保健機構 『京都大学保健診療所(吉田・宇治・桂)の診療終了について』 (2021 年 12 月 4 日閲覧) http://www.hoken.kyoto-u.ac.jp/blog/2021/12/01/about-clinic-close/